ピアノ男子2人の「ピアノやめたい」をどうやって乗り越えたか
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ピアノ男子2人の「ピアノやめたい」をどうやって乗り越えたか
こんにちは!宮本理恵です。
数年前、男子生徒2人に「ピアノやめたい」と言われました。
1人は小学1年生で、もう1人は大手音楽教室から転入してきた中学2年生。当ピアノ教室に入会したばかりです!
2人の共通点は「本人の意志ではなく、親の希望でピアノを習い始めた」ということ。

ピアノを習うことで「頭が良くなる」「一生の趣味にできる」「楽譜が読めるようになる」など、さまざまな効果が期待できるため
親の意志でピアノを習わされる子は、たくさんいるのではないでしょうか?
(私の娘も、親の意志によりピアノを習い始めました。)
もともと本人の意志ではないので、いつ「ピアノやめる」と言われてもおかしくないのですが‥
親としてはやっぱり、ピアノを続けてほしいというのが本音ですね。

あれから一年。2人ともまだレッスンは続けていて「今度の発表会は何を弾こうか」と話してくれています。
では「ピアノやめたい」と言っていた2人が、なぜ「続けよう」と考え直したのでしょう?
今日は、みやもとピアノ教室の実際の生徒さん2人のケースを、赤裸々にご紹介します。

ピアノやめたい小1のAくん対処法「楽譜を変える」
小学校入学と同時に教室にご入会したAくんは「ママの夢を叶えたい」と言って、ピアノを習い出しました。
入会動機を伺うとママが「私が習わせたくて‥」とおっしゃいました。
はじめのころは良かったのですが、Aくんは譜読みがスムーズにできず(そもそも楽譜を読もうとせず)練習もせず。

そんなある日、ママがAくんと一緒にレッスンに来て
「家で楽譜を読ませようとしたら、もう弾きたくないと言うので、今日は私をレッスンしてもらえませんか?」
と申し訳なさそうにおっしゃいました。(実際に、ママにピアノレッスンしました‥)
ピアノを習い始めてたった数ヶ月でやめてほしくない。今はとにかく、続けてほしい一心でした。
そこで、音符にドレミが書いてあり、知ってる曲ばかりの教材「はじめてのピアチャレ」(山本美芽先生著書)に変更しました!

すると、楽譜を見ようともしなかったAくんが、顔をあげて楽譜を読み、ピアノを弾くようになりました!
ほとんど練習してこないAくんですが、なんとか両手奏ができるようになりました。
ピアチャレ修了後、前に使っていた教本に戻りましたが、Aくんは以前よりも楽譜を読もうとしています。

ピアノやめたい中2のBくんの対処法「目的を変える」
中学生のBくんは、大手音楽教室から当ピアノ教室に転入してきました。
ご本人は「ピアノやめたい」、ご両親は「ピアノを続けてほしい」。真逆の方向を向いていました。
Bくんは「グレードテスト⚪︎級まで受かったらピアノをやめていいって言われてる」と言って、大手音楽教室のグレードテストの課題曲を弾いていました。
Bくんは、ピアノをやめるために(グレードテストを受けるために)ピアノを習いにきていたのです!

大手音楽教室のグレードテストというのは、生徒のモチベーションを上げるための、ピアノの期末テストのようなものです。
保護者さまは「なんとかしてピアノを続けさせたい」と言って、Bくんにグレードテストを課していたのです。
でもここは、本人の好きな曲を弾かせたほうが、モチベーションが上がるのではないか?
私は思い切って「これまでずっとグレードテストを受けてきたのですから、これからはご本人の好きな曲を、思いっきり弾かせてあげませんか?」と提案しました。
ピアノを弾く目的を「グレードテストを受けるため」から「純粋にピアノを楽しむため」に変更したのです。

それ以来Bくんは、自分の好きなポップス曲を弾いてくるようになりました。
自分で選んだ好きな曲なので、以前より練習するようになりました。
あまりにも楽しそうにピアノを弾くので、ダメもとで発表会をおすすめしたところ、なんと発表会にも出てくれました!

「ピアノやめたい」と言われたとき大切なのは、軌道修正
私は長年ピアノの指導をしていますが、「ピアノは簡単には弾けるようにならない」と痛感しています。
しかも本人の意志ではなく、親と先生からの「やらされ感」が強かったりしたら、ある日突然
「どうしてピアノなんか弾かなきゃならないんだ!もうやめる!」とわが子に言われても、仕方がないのではないでしょうか。
ピアノを習うきっかけは親の意志であっても、ピアノを練習するのは、ご本人なのです。

「ピアノやめたい」と言われた時に大切なことは、講師と保護者さまで協力しあって、軌道修正すること。
前述の2人は、楽譜を変える、目的を変えるという軌道修正をしましたが、「ピアノやめたい」の理由は、千差万別です。
どうしてやめたいのか、何に困っているのかを見極め、本人の気持ちを、尊重すること。
この軌道修正がうまくいけば、これから先、もっとピアノを好きになり、長く続けてくれるのだと思います。



