絶対音感をわが子に身につけさせなかった理由

絶対音感をわが子に身につけさせなかった理由

「絶対音感」という言葉、聞いたことがありますか?

絶対音感とは(ウィキペディアより)

絶対音感(ぜったいおんかん、英語:Absolute pitch)は、ある音(純音および楽音)を単独に聴いたときに、その音の高さ(音高)を記憶に基づいて絶対的に認識する能力である。 狭義には、音高感と音名との対応付けが強く、ある楽音を聞いたときに即座に音名・階名表記を使用して表現できる能力である。 別名として「絶対的音感」「絶対的音高感」などがある。 相対的な音程で音の高さを認識する相対音感に対して、音高自体に対する直接的な認識力を「絶対音感」と呼ぶ。

どのような能力なのか、具体的に例をあげると。

電車の踏切の音など、楽器以外の音を含み、聴こえてくる音が、ドレミに聞こえてくる音感のことを言います。

生まれつきこの音感を持っている人は、20万人に1人の割合だとか!

絶対音感は、音楽家にとっても憧れの能力です。

聞いた音が即座にドレミでわかるのですから、音楽を聴いて楽譜を書く「聴音」のテストも簡単にできるでしょう。(音大入試では必須科目)また、暗譜もしやすく正確。耳コピも楽にできるでしょう。

絶対音感は、実は、もともと才能がある人だけのものではありません。

しかし、この臨界期を逃してしまうと、残念ながら身につきません。

絶対音感が身についている人は、身についていない人より、IQが高いというデータもあり、魅力的な能力であることは間違いありません。

もしも自分に絶対音感が身についていたら

私は、ピアノ講師をしていますが、絶対音感がありません。

ですが、幼い時からピアノが好きで、よくピアノで遊んでいました。自分のレッスンの前の生徒が弾いている曲を聞き覚えては、家に帰って、真似して弾いていました。

自然に身についた、絶対音感とも相対音感ともいえぬ曖昧な音感で、なんとかこうして、音楽を生業にすることができました。

しかし思い起こせば、音大受験や、講師資格のグレードテストで聴音のテストがあり、とても苦労してきました。

「もし自分に絶対音感があったなら、どれほど音楽の幅が広がっただろう‥‥自分の子供には、絶対音感を身につけさせたい」とずっと考えていました。

そして、私も絶対音感を指導できるようになりたいと。

一音会で体験した、絶対音感プログラム

娘が2歳になって、江口式絶対音感プログラムで有名な「一音会」の体験レッスンを受けに行きました。

「一音会」は「江口式絶対音感プログラム」を確立して、世界的に有名になった教室です。

世界的なピアニストとなった反田恭平さんや、藤田真央さんも、一音会で絶対音感を身につけています。

このプログラムを確立した、故 江口寿子先生の著書は多数出版されており、子供への愛にあふれた江口先生の教育理念が、本当に素晴らしい!

そして、実際に娘と受けた一音会での体験レッスンは、「リトミック」と「絶対音感プログラム」二つがセットになっていました。

その内容は、江口寿子先生の教育理念に基づく、子供の目線に立った優しさあふれるカリキュラムでした!

けれど、どうしても引っかかることがありました。

それは、家庭への負担です。レッスンだけでなく、毎日自宅でも5回、ピアノの音を聴かせて、子供にドレミの旗で答えさせるのです。

中には、この練習が苦にならないという保護者の方もいるのだと思います。

けれど、2歳児といえば、一般的にイヤイヤ期の真っ只中。この魔の2歳児に、毎日5回以上、音を聴かせ、何色の音だったか旗で答えさせなければならない‥音楽を生業にしている私ですら、正直負担に感じました。

これがもし、フルタイムで働いてるママだったら、兄弟の多いご家庭だったら‥

しかも、絶対音感が身につくまでの期間は、人によって異なり、一旦身についたあとも継続しないと、音感がなくなってしまうこともあるそうです。

そして、ここまでがんばって継続してきても、絶対音感は、必ずしも身につくものではないそうです。

身につかなかった場合は、相対音感を強化していくそうですが、相対音感だったら、大人になってからでも身につけられます。

相対音感だったら「6歳半までと」いう切迫感がなく、その子のペースに合わせることができるのではないか‥

もう一つ引っかかったのは、絶対音感が身につくまで、一定の期間、移調して聴かせないでほしいという話でした

わかりやすく言うと、カエルのうたを♫ドレミファミレドで聴かせている間は、♫ソラシドシラソで聴かせないでほしいということです。

たしかに、一音会のリトミックの体験レッスンは、ハ長調のみのピアノ即興でした。たまたまそうだったのかもしれませんが、これはおそらく、相対音感が、絶対音感より先に身につかないよう配慮しているのでは?と感じました。

私には、絶対音感を身につけさせる覚悟が足りませんでした。

幼少期、絶対音感よりも大切にしたいこと

結局、娘は、家の近くのリトミック教室に通わせることにしました。

娘は現在、小学生。どんな音感が身についているのか調べてはいませんが、テレビで流れているメロディーを聞けば、すぐにドレミに置き換えて歌えるようになりました。

ピアニストにさせたい、音大に行かせたい、音楽家に育てたい。このように確固たる目標があるのでしたら、私は断然、絶対音感をおすすめします。

みやもとピアノ教室では、絶対音感教育はしていません。

なぜなら、日頃から、家事に育児、お仕事に人付き合い‥毎日がんばっているママたちに、これ以上、負担をかけたくないからです。

かけがえのない幼少期は、お子様と一緒にリラックスして、楽しくて幸せな思い出をたくさん作ってほしい。その一心なのです。

みやもとピアノ教室は、親子で音楽を楽しむことを大切にしています。

脳科学に基づいた、2歳から5歳までのピアノdeクボタメソッド認定教室です。

ピアノdeクボタメソッドコースの内容は、こちらからどうぞ