ピアノは毎日練習しないとダメですか?小手指のピアノ教室

 ピアノは毎日練習しないとダメですか?小手指のピアノ教室

こんにちは!宮本理恵です。

先日、小1の女の子に、ピアノコースの無料体験レッスンを行いました。

とても元気な女の子で、受け答えもしっかりできました!

お母様が昔、ピアノを習っていたそうで、ご自宅にはすでに電子ピアノがあるそうです。

保護者さまに「何かご質問がございますか」と伺うと、とても印象深い質問を受けました。

「毎日、ピアノの練習しないとダメですか?」

このお話には、続きがありました。

「実は、幼稚園入学と同時に、個人のピアノ教室へ通ったんですが、そこの先生に『毎日ピアノを練習しないと、レッスンする意味がない』と言われたんです。

でも、当時は娘も幼かったし、私も仕事復帰したばかりで、ピアノどころではなくて。

結局、数ヶ月で、ピアノ教室をやめてしまいました。」

お子様が幼稚園入学と同時に、職場復帰…保護者さまの大変な状況が想像できます。

この「毎日のピアノ練習問題」に、ピアノ講師は、どう答えるべきでしょうか?

ピアノを練習させるのがこんなに大変だと思わなかった

幼児さんは、お箸を毎食使うことで、やがてスムーズに箸を使えるようになります。

ピアノも全く同じで、毎日練習すれば、ぐんぐん上達します。

そして、本人が上達を実感できるようになると、ピアノをもっと好きになり、ピアノの成長曲線は、さらに上がっていくはずです。

では、たとえば5歳児が毎日30分、自主的にピアノの練習をするかというと、そんな子は、ほとんどいません。

結局ピアノは、一人で練習できるようになるまで、保護者さまのサポートが必須となります。

家事、育児、仕事で何かと忙しい保護者さまに、ピアノの練習に付き合う時間も、確保してもらわなければならないのです。

ピアノの先生方は(私も先生ですが)「そんなことは当たり前…」と内心思っているのかもしれませんが…

この、ピアノの先生と保護者さまとの間に、大きな「溝」があるのではないかと思います。

私自身は、ピアノが大好きでしたので、「親に練習しろ」などと言われたことはありません。

けれど、娘が生まれ5歳になり、ピアノ教室に通い出してから、ピアノを練習させる大変さに直面しました。

娘は自主的にピアノを練習するタイプではなかったので、ピアノをめぐってい親子ゲンカが絶えませんでした。

「こんなに練習させるのが大変なら、ピアノなんて習わせたくない…」

保護者さまがこう思うのも無理はない…と痛感しました。

いつまでに、どれくらいピアノが弾けるようになってほしい?

先ほどの「毎日ピアノの練習しないとダメですか」に対する答えは、理想は「YES」です。

けれどその前に、ピアノ講師の立場からしても、保護者さまに質問したいことがあります。

「お子様には、いつまでに、どれくらいピアノが弾けるようになってほしいですか?」

そう、なんとなく「ピアノが弾けるようになってくれたらいいな」では、いけないのです。

ピアノ講師をしていると、生徒さんの練習量から、だいたい「数年後は◯◯が弾けるようになる…」というような予測ができてしまいます。(もちろん個人差があります)

仮に、小学1年生がピアノを習い始めて「エリーゼのために」が弾けるようにすることを、第一目標とします。

●毎日×30分〜1時間、練習した場合

2〜3年で「バイエル」など、一つの教本を修了し「エリーゼのために」が弾けるようになるでしょう。

●週に3日〜4日×30分練習した場合

4〜5年程度で一つの教本が修了し「エリーゼのために」が弾けるようになるでしょう。小学4、5年生で弾けるということです。

先ほどの「毎日練習しないとダメですか?」に対する答えとして、補足すべきは

「ピアノは、毎日練習しなくても上達はしますが、毎日練習している子に比べると、成長曲線は、緩やかなものになります」ということ。

なので、始めから「毎日ピアノの練習はさせられない」というのでしたら、1年〜2年でピアノ教室をやめさせるのではなく、長い目で(せめて4〜5年)レッスンに通わせる覚悟をしてほしいと思います。

ピアノレッスンは、生徒さんのスキルや、身体的、精神的成長に合わせて、テクニックや理論、音楽的アプローチなども、徐々に難易度を上げていくもの。

1年程度でレッスンをやめてしまっても、伝えられることは、ほんのわずかなのです。

毎日練習しないとレッスンする意味がない?

最後に「毎日ピアノの練習をしないと、レッスンする意味はない」のでしょうか?

たしかに、生徒さんが毎回「全く練習してません」と堂々と言いながらレッスンに来ると、教える側としては、残念な気持ちにはなりますが…

「練習していなからレッスンを休む」というのも問題があります。

私は、生徒さんがピアノ教室に来ること自体に、とても大きな意味があると考えています。

ピアノのレッスンは、一対一だからです。

ピアノレッスンの継続年数は、幼児期から思春期まで、平均するとだいたい5年〜10年。

これほどの長い期間、一対一で生徒さんの成長を見守り、導き、励まし続ける習い事は、おそらく他にはありません。

子どもは、ピアノレッスンを通じて

「自分は他人からも大切にされている」「自分はやればできる」ということを学び、自己肯定感を高めます。

学校や家庭で、ちょっと嫌なことがあった日も。ピアノ教室が、自分を認めてくれる「居場所」となり、時には「逃げ場」にもなるのです。

さらに今、ご家庭では、電子ピアノが主流です。

ピアノ教室で、生のグランドピアノの美しい響きに触れること自体、とても貴重な時間となるはずです。

たとえ毎日練習できなくても、どんなにゆっくりペースでも。

まずは、音楽そのものの素晴らしさを知り、ピアノを好きになること。

一人でも多くの人に、音楽で、幸せになってほしいと願い、レッスンしています。

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